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(36) AI活用の試行錯誤を誰が担うか

「使えるようになる」までにかかる時間

私たちがビジネスのためのAI活用に関わっていて感じるのは、AIを実務で使えるようになるまでには、多くの試行錯誤が必要だということです。プロンプト(AIへの指示)を工夫するだけではありません。どのツールを使うか、どのデータを渡すか、既存システムとどうつなぐか、どこまで自動化するか。一つずつ試して初めて、「これは使える」「この方法では無理だ」という感覚が身についていきます。これには時間がかかります。

その時間を誰が負担するのか

問題は、その時間を誰が負担するかです。多くの会社では、業務をよく知り、能力の高い人にAIを試してもらおうとします。それは自然な判断ですが、そういう人ほど本来の仕事で忙しいでしょう。AIの探索は面白い反面、何時間試しても成果が出ないこともあり、通常業務の延長ではなかなか続きません。

実際、2026年4月のOECD調査では、2,000社を超える中小企業の61%がAIを使っていましたが、その76%は市販ツールを個別業務で使う初期段階でした。研修時間の不足を38%が課題として挙げています。また、29%の企業がデジタル人材不足を補うために外部コンサルタントを利用していました。Goldman Sachsの2026年3月調査でも、76%がAIを利用する一方、基幹業務まで十分に組み込めている企業は14%にとどまりました。

外部支援が役に立つ理由

ここで外部支援が役に立つ理由は、単に人手を補うからではありません。正解を知っているからでもありません。正解がまだ定まっていない状況で、探索の質を上げられるからです。探索の質とは、例えば次のようなことです。

  • 適切な仮説を立てるが、柔軟に修正すること
  • 小さな実験から多くの学びを得ること
  • 業務やビジネスについての自己理解が深まること

つまり、外部の人は社内の人だけでは見落としやすい別の仮説を出し、問いを広げたり絞ったりし、失敗を次の学びにつなげる相手として価値があります。外部の知見は社内の能力育成に役立つのではないでしょうか。

支援が成功したと言える状態

外部の人が去ったあとに、社内の担当者が「次はこれを試してみよう」と考えられる状態になっていれば、その支援は成功したと言えると思います。AI専門家やAI導入チームがいない企業にとっては、このような外部専門家の利用方法がもっとも効率的だと、私たちは考えています。

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